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注目記事(2008/1/29)

Opinion:
 
「真に革新的な政策が必要な日本」
 石塚雅彦 (フォーリンプレスセンター評議員)
  
  年初からの東京市場における大幅な株安もあって、日本に対する悲観論が支配的になっている。もともと悲観論が強い日本ではあるが、今回はこれまでと違い、これが国力の長期低落傾向の始まりではないかという危機感が蔓延している。
  特に発展著しい中国や他のアジア諸国と比較すると、日本は、人口、一人当たりGDP、企業規模の順位、ODAの総額、国の財政状況などどれをとっても下降線をたどっており、そのためもあって外国人投資家が日本を見放し、日本企業自身も自己防衛策に腐心しているといった状況である。
  ほんの2年前には、当時の小泉首相の改革路線が国民の圧倒的な支持を得て、自民党が圧勝したが、そのときの楽観論はどこへ行ってしまったのか。今日の政治家はビジョンがなく迷走ばかりしていると批判されるようになってしまった。参院選での敗北の結果、与党は改革を進めるのではなく、弱者を救う政策を重視する方向に転換したようにみえる。
  福田首相は年頭の施政方針演説で、一般国民と消費者の生活を第一に考えることを強調した。これは一見問題のない主張であるが、過度な生活重視は改革を犠牲にする恐れもあり、弱者保護の名を借りた既得権の保護に陥る危険もある。日本は成長と繁栄を続けなければ、格差の問題も解決できない。グローバル化の中で成長を続けるためには改革が必要不可欠で、そのためには弱い部門に負担が集中することは避けられないであろう。福田政権はそのようなスタンスを明確に打ち出し、革新的かつ情熱的な政策を打ち出して、首相自身が国民を説得しなければならない。
  もし国民がそのような変化を受け入れるならば、必要なのは成熟した二大政党制である。現状はまだ成熟した体制ではなく、政治は対立のために対立を不毛に繰り返して、権力争いに腐心している。いまや日本政府の経済担当相が「日本はもはや一流の経済大国とはみなされない」と発言するようになってしまったが、これが悲観論を悪化させるのではなく、政治家の目を覚まさせる警告として働くことを期待したい。日本は現在のどん底の中に何とか希望の灯を見出さなければならないのである。

英語の原文: "In these Dark Days, Japan Requires Real Policy Innovation"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080129_ishizuka_in/
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