石塚氏は英語の論文(以下のリンク参照)で、日銀総裁を決定できない日本の政治状況について、内外のメディアが日本の国としての欠陥や政治の失敗をあげつらっているが、問題はもっと前から今のような国会での政治情勢を予想して必要な対応を取っておかなかったことにあると指摘する。
つまり、つい先日までメディアを含めて誰も、自民党の支配がいつまでも続くことを前提にしてきたことが問題であり、それはいわゆる「55年体制」のもたらした抜きがたい先入観であった。それが昨年の参院選の結果、政治状況が激変し、そのために日銀総裁が決まらないという前代未聞の事態になったのである。
一方において日銀総裁の決定は政治的な駆け引きの道具にすべきでないという議論があるが、他方今回のような状況はこれまでおろそかにされてきた日銀総裁の資質や背景を明らかにして厳しく検討するという望ましい動きにつながったとも解釈できる。それはもっと以前からメディアが果たすべき役割であった。その意味で、現在の状況から我々が学ぶものは大きいと石塚氏は述べている。
英語の原文:
"BOJ Fiasco Reveals Painful Truths about Politics in Japan "
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080401_ishizuka_boj/