清家教授は英語の論文(以下のリンク参照)で、経済の構造変化や社会の高齢化により、公務員にもより高い仕事能力が求められており、プロ意識を高めることが重要になっていると指摘。その上で、最近の公務員制度改革の議論に対する疑問を提起する。
まず、公務員の採用や人事管理を一元化すべきという議論については、高い能力を持つプロを育てるには、本人が抱く特定の仕事への興味と意欲を育て評価することが必要不可欠であるのに対して、それを公務員という一くくりにすることはマイナスになる。政治主導は当然であるが、政治家の能力に合わせて公務員の力を抑えるのではなく、縦割り行政分野に政治的優先順位をつけるようなリーダーシップを発揮すべきである。
さらに公務員の退職管理についての議論にも問題があり、確かに「天下り」は人材の活用の面で好ましくないが、今でも民間や外国に比較して低い公務員の年金の支給は削減するのではなく、むしろ充実させるべきである。その代わり、年功賃金制度を改め、また60歳代中ごろまで十分に能力を発揮して働くことを条件に老後の心配のないような年金を支給することが、公務員自身のためにも社会のためにもなると、清家教授は主張する。
英語の原文:
"Encouraging Professionalism for Public Sector Personnel"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080408_seike_encourage/