4月24 日と25日の2日にわたって、国際大学情報発信機構とテンプル大学の共催シンポジウムが開催された、以下はその要旨である。
1日目のテーマ:「中国は日米にとってチャンスか脅威か」
ロバート・デュジャリック氏(テンプル大)は政治・外交・防衛問題、またレネ・ダイグナン氏(イタリア銀行)は経済問題という中国の別々の側面を取り上げたにもかかわらず、似通った議論が展開され、基本的に同じ結論に達したことは非常に興味深い。
つまり、中国はさまざまな問題を引き起こしているが、それについて外から出来ることは中国を「責任あるステークホールダー」として国際社会に進んで迎え容れ、その結果として責任ある行動をとるよう促すことだけである。しかしそれでも中国は将来的にグローバルな規模のリスクを抱えていることは確かという結論であった。
2日目のテーマ:「オリンピックの年における中国問題」
政治学者の高木誠一郎教授(青山学院大)、経済学者の木下俊彦教授(早大)、およびジャーナリストのサム・ジェームソン氏の3人がパネリストで、活発な議論を展開。まず高木教授は、日中首脳会議の共同声明について、東シナ海油田問題などの未解決な課題には触れられないことを指摘。また木下教授は、当面の問題よりも、中国の経済発展パターンの構造調整問題がより深刻なリスクを伴うと主張。またジェームソン氏は、北京オリンピックで中国が台頭するパワーを誇示しようとしている点に懸念を表明した。
プレゼン後の自由討論では、もっぱら質問は巨大な中国をどうやって「責任ある」ステークホールダーとして行動させることができるかという問題に集中した。結論としては、できるだけ一般の中国人と広く対話の道を探り、彼らに日本や世界に関する客観的な事実を伝えることに努力すべきという点で皆のコンセンサスが得られた。
英語の原文:
"Activity Report: China As a Long-term Global Risk Factor: Experts Agree"
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/
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