東京の日仏学院で5月12日に、カナダのケベック州政府在日事務所の主催により日本とケベックに関する特別セミナーが行われた。そのパネリストの一人、曽田修司跡見学園女子大学教授の主張は以下のようなものであった。
曽田教授によれば、ケベックの舞台芸術は、「ラララ・ヒューマンステップス」や「シルク・ド・ソレイユ」などに見られるように、身体的な動きと芸術的な内容をブレンドする特徴があり、言葉よりもビジュアル的に内面の感情を表現しようとする点で、日本の芸術と相通じるものがある。しかし大きな違いもあり、それは特に芸術活動のマネジメントの面で見られる。つまり、ケベックの舞台芸術は、制作だけでなく流通も含めてグローバルな視点から計画され、実施されることで、日本ではその点がもっとも欠けており、ケベックから学ぶところが大きい。
それに関連して、曽田教授は以前のインタビューで述べていたように、日本の文化政策の見直しが必要で、政府は文化活動に対する国内の市場と海外の市場を結び付けるような「文化戦略」を立てることが望まれる。その場合に、これまでやられてきたように日本の伝統的な文化と現代的な文化(ポップ・カルチャー)を別々に扱うのではなく、それらを一緒にした日本の文化活動の全体像を海外にプレゼンしなければならない。そのためには、日本人がもっと日常的に芸術活動にかかわり、グローバルな視点から日本文化の質を高めるように時間とお金をかけるようになるべきであると、曽田教授は主張する。
英語の原文:
"Japan's Cultural Policy Should Be Reconsidered: Prof. Sota Insists"
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/
20080526_miyao_quebec/