石塚氏は英語の論文(以下のリンク参照)で、若年層の人口が減少する日本において、高齢者たちが若者の態度の悪化に不満の声をあげることも多くなっているが、高齢者は自分たちの生活や将来が若者たちに依存していることを考えて、若者の扱いにはもっと注意する必要があると述べている。
実際、日本の政治経済社会システムは若年層に冷たく、多大な負担を強いている。例えば、主に高齢者のニーズを満たすために肥大している財政赤字額はGDP比で先進国中最高で、これは現在の若年層と将来世代の税負担を意味する。また中高年の雇用を守るために若年層の雇用が見送られ、多くの若者が常勤職に就けない「ワーキングプア」となり、将来に希望が見いだせない状況となっている。
そのような中、絶望した若者が現状打破の最後の手段として戦争を待望し、軍隊の上官に反抗した若い軍人のエピソードを美化したり、戦前のプロレタリア文学「蟹工船」が若者たちの共感を呼んで一種のブームになるなど、日本の若年層の不安な心理を象徴するような現象が目につく。これがどれだけ広汎で深刻な問題かについては議論があろうが、重要なことは若者の不安や不満をどのように一つの持続可能な政治的なパワーに組織化することができるかではないだろうか。
この点で選挙権を18歳から与えることは、減少する若年層の声を政治に反映させる点で、正しい方向への第一歩になると思われる。主として年長者におもねる古い体質の政治家に代わって、若い世代を目覚めさせる新しいリーダーが日本で今こそ強く求められていると石塚氏は述べている。
英語の原文:
"Will Young Leaders in This Aging Nation Please Stand Up"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080530_ishizuka_young/