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注目記事(2008/6/30)

Activity Report:
 
「報告:中国の抱える問題と責任」
 情報発信機構 (宮尾尊弘国際大学情報発信機構長)
  
  6月18日にロサンゼルスのUSC(南カリフォルニア大学)経済学部で「中国の抱える問題とその責任」についての特別なセミナーがあり、中国からの客員研究員・張為付氏がプレゼンを行った。
  まず張氏は、中国の所得格差と地域開発の問題を取り上げた。所得格差については、中国全体として格差が大きく見えるのは主として都市と地方の差が大きいことによっており、それぞれ都市や地方の中ではそれほど大きな差はないと主張。都市と地方の差は、移住が厳しく規制されているためで、国内に2つの別々の世界が存在する状況であるという説明であった。また地域開発については、最近のチベットでの出来事に触れて、何よりも重要なのは、中国のすべての地域が「平和的発展」を遂げることで、もし暴力や暴動でそれが阻害されれば中国の国としての統一が保てなくなる可能性もあり、そうなれば中国だけでなく世界経済にとっても深刻な事態を引き起こすであろうと結論付けた。
  その後活発な討論が展開され、経済的成功は中国での民主主義の到来を促進するのか、それとも共産党の支配を助けるだけなのかといった質問が出された。それに対する張氏の答えは、中国には「アジア的」とも言うべき中国独自の政治システムがあり、それは西側の民主主義とは異なるというもので、米国ではなかなか受け入れられない議論であった。
  セミナーの後半では、宮尾尊弘USC客員教授が中国の抱える現在の問題について講義し、特にエネルギー、環境、知財などに関する諸問題について説明を行った。その後、出席した参加者にアンケートを配布して、そのような諸問題に対して中国がどれだけ責任を負っているかについて質問し、その場で結果を集計し発表した。
  それによると、参加者の間では、中国が、国内で不法コピーを野放しにしていることなどは問題であるが、エネルギー、環境、貿易不均衡などのグローバルな問題の主要な原因ではないという意見が大勢であった。いずれにしても、中国に対してあまり厳しくない態度と、中国の長期的繁栄と安定に対して楽観的な意見が目立っていた。それは、おそらく参加者の半分以上がアジアからの留学生であり、また最近の政府レベルでの米中関係が改善していることを反映した結果といえるであろう。

英語の原文: "China's Current Problems and Responsibilities: Views from the U.S."
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/
20080624_miyao_usc/
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