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注目記事(2008/8/18)

Opinion:
 
「オリンピックで注目が集まる中国の問題」
 アン・メン (米国防大学、国家戦略研究所)
  
  メン氏は英語の論文(下のリンク参照)において、オリンピックの栄光の中で、中国は二重の国家アイデンティティの問題に直面していると指摘する。つまり、一方で自国が達成した成果とパワーを誇る愛国心があり、他方で海外からの批判に対して政府や国民が自己弁護する国家主義的なナショナリズムがある。北京オリンピックはそのどちらが支配的かを明らかにするであろう。
  自国に対する自信と誇りを表す愛国心と他国に対する優越感を示すナショナリズムは、それぞれ何によって刺激されるのであろうか。例えば、四川大地震の際には自発的な救援活動や被災者への援助活動などで国民の愛国心が示されたが、これは粗悪な建物の建設に関する地方政府への非難や調査要求などを排除するものではなかった。それに対して、チベット問題に関する海外の批判には、中国政府が国内問題として弁護したこともあり、国民の多くも海外メディアに対してナショナリスティックな反応を示した。
  これまで中国政府は、海外の批判をかわして国内の諸問題を隠蔽する上で、自己弁護的なナショナリズムが有用であると思ってきたようであるが、それは結局、国内での不満を高め、中国の海外での評判を悪化させる不安定要因に変わってきている。中国政府は、国の成果に対する国民の誇りを増進することと、他国に対する自国の利益を追求する自己弁護的な反応を扇動することとを明確に分ける必要がある。
  中国政府および多くの中国国民は、北京オリンピックを「新しい中国」に対する誇りを表明するまたとない機会とみなしている。しかし中国が海外の批判に対して自己弁護を強めるだけであれば、プラスの愛国心はマイナスのナショナリズムに転じる恐れがある。そうなれば、中国は本来自らが値する尊敬も得られず、国際社会の責任あるステークホールダーに一歩近づく機会も台無しにするであろう。
  北京オリンピックは、中国の良い面と悪い面を分けて見るプリズムの役割を果たす。オリンピックの施設や開会式で示されたショーケースも見られるし、また報道規制や環境問題のようなマイナス面も明らかになる。我々はオリンピックでのメダルの数を数えるだけでなく、この間に良い愛国心と悪いナショナリズムがどのように示されるかをしっかり見ておきたいものである。

英語の原文: "China's Moment in the Olympic Spotlight"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20080818_meng_olympic/
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