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注目記事(2008/12/1)

Opinion:
 
「新時代における日本の対米姿勢の再検討」
  石塚雅彦 (フォーリンプレスセンター評議員)
  
  石塚氏は英語の論文(以下のリンク参照)において、次期米大統領にオバマ氏が選出され、日本としては対米関係を再検討する時が来ており、サブプライム後の世界において重要な役割を演じることが求められると述べている。
  第二次世界大戦での敗戦以降、日本が米国をどのように受けとめるか、あるいは距離をとるべきかは重要な課題であったが、米国のような圧倒的な超大国との同盟関係はやむをえないものであり、疑問を挟む余地のないものという考え方に人々は慣らされてきた。しかし、これは心の奥底ではトラウマとなって残っており、時折議論がわき上がって、米国から距離を置く、ないし独立するといった主張が表面化することもあった。
  そのような議論をする代表的な党としては、日本共産党があり、自民・公明両党は米国の軍国主義に従属していると主張してきた。一方、それと対極的な立場をとるのが麻生太郎首相で、オバマ次期大統領の当選を受けて、「誰が米大統領になろうと50年以上も築き上げてきた日米関係が維持されることを希望する」と述べている。このような発言については、あまりに脳天気であり、むしろ今や日本の対米関係を再評価し再考すべき時にきているのではないかというマスコミの論評もあった。
  実際に、オバマ大統領の就任によって、外交や経済政策など、共和党主導の政治からの変革が期待されている。米国の日本へのスタンスは基本的には変わらないかもしれないが、より強いイニシアティブやリーダーシップが日本に期待されている今が日米関係を再検討するいいタイミングと思われる。
  オバマ新大統領の選出は、明らかに失敗したイラク戦争やモラルのない強欲な経済拡大に対する米国民の答えとみなすことができるが、日本はイラク戦争に協力して戦闘が行われている国へ兵力を派遣していなかっただろうか。あるいは、円安政策を取る一方で米国の金融バブルから利益を得ていなかっただろうか。日本の責任が問われるとともに、新しい状況にどう対応するかが問われているといえる。
  米国からより独立した望ましい距離を持つということは、重要な案件において日本は米国にもっと本音をぶつけることである。弱りつつある米国は、日本がより独立したリーダーシップを発揮してアジア政策などに取り組むことをむしろ期待しているといえる。
  現在の深刻な金融危機に直面し、日本がサブプライム後の世界を築く上でリーダーシップをとるには絶好の位置にいるという議論があるが、それを実現するには、現状にあわてふためくのではなく、高邁なビジョンに裏付けられた知力と意志力を示し、胸を張って実現可能な未来を見据えて進む必要がある。そうすれば日米関係の新時代を拓くことができて、オバマ氏を選んだ米国民からも尊敬を勝ち得ることができるであろう。

英語の原文: Rethinking Japan's Stance vis-a-vis U.S. on Eve of New Era
http://www.glocom.org/opinions/essays/20081201_ishizuka_rethink/
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