金融資本市場の競争力を強化することは、日本がこれまで追及してきた重要な政策課題である。実際に、この課題解決に向けてのロードマップとして、昨年末に金融庁が「競争力強化プラン」を取りまとめ、筆者もその議論に積極的に参加してきた。
しかし、現下の米国発の金融危機により、「金融を強化する」という考え方そのものが間違っているという議論が日本でよく聞かれるようになっている。
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金融危機が再発しないための様々な方策は、「金融の強化」への第一歩とみなすことができることに気づくべきである。つまり、現下の金融危機は、金融部門の強化を必要としないどころか、むしろより一層必要としているといえる。
もしリスクを再配分する機会がなければ、企業も家計もリスクをあえて取ろうとしなくなり、経済は沈滞してしまうであろう。したがって、リスクのある取引を忌み嫌うのではなく、リスクの取引が安心してできるような環境を整備することこそ正しい方向なのである。
(池尾論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
Now Is The Time For "Strengthening Japan's Financial Sector"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20081224_ikeo_now/