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注目記事(2009/1/26)

Opinion:
 
「米国だけを責められない他国も加担した金融危機」
  石塚雅彦 (フォーリンプレスセンター評議員)
  
  石塚氏は英語の論文(以下のリンク参照)において、行き過ぎたアメリカの消費サイクルによる金融危機に対して、日本は独自の資源によって難局を乗り切るべきであると述べている。
  米国のサブプライム問題と金融危機の背景には、不相応の大きな消費があったといわれる。高騰する住宅価格に信用を裏付けられた資金の高騰により、消費者は収入以上の消費を繰り返し、資産価格のバブルは弾け、金融システムは崩壊し、米国から世界中へ広がった。
  繁栄に終わりはないという錯覚により、消費者はバブルを利用したといえるが、バブルに加担したことによって搾取されたとも考えられる。その終焉によって、米国の金融機関の不合理を批判することが流行っているが、振り返ってみると、それを見つかられなかった監査機関や非倫理的な方法で貪欲に利益を追求した金融機関にも責任があると考えられる。
  これを可能にしたのが、米国が中国や日本から製品を購入し、輸出業者はそれによって得た資金を米国債の購入や米国のビジネスに投資するというサイクルである。これによって中国や日本の経済は繁栄したが、その他の国も米国のバブルを頼り、利用したといえる。
  米国の消費者を批判することは容易いが、アメリカの行き過ぎた消費から利益を得ていた輸出国にも責任があるといえる。
……………………………(中略) ……………………………………………
  他国の利益追求のために、米国に収入以上の消費を強いた国々の非現実的な慣行をもう一度振り返る必要がある。
  オバマ氏が大統領に就任し、他国は彼が米国経済をいかに立て直すかに注目している。これは、サブプライム問題以前と同じで、全世界の運命はアメリカ次第という米国の存在感は変わっていない。
  ここで重要な点は、他国は再びアメリカの消費に期待しているということで、世界経済にとってそれ以外の選択肢は見当たりそうにない。
  麻生首相は、日本経済の復活には3年かかるが、世界の中でも日本がまず不況から立ち上がるだろうと宣言した。麻生氏の景気刺激策にも関わらず、エコノミストや政策立案者は、アメリカの回復が重要とみている。その景気刺激策は、内需拡大によって国内経済を立て直すという長期展望に欠け、政府助成金を伴うものもある疑わしい緊急財政出動も、その効果は限られるだろう。
  日本には1,500兆円の個人資産があるといわれる。金融危機によってその額は減ったが、様々な分野の工業技術もある。多くの専門家は、これらの資産を活用した明確な国の指針を出せないでいると指摘する。
  消費が拡大しない理由のひとつに、未来に対する積み重なる不安があるといえる。年金、介護や社会福祉をとってみても明白であり、職を失うのではという不安も拍車をかけている。政府がこれらの不安を取り除けば、より消費は拡大されるであろう。米国経済が復活したとしても、行き過ぎた消費に頼る経済には戻らないであろうが、日本はこの変革にどのような準備をするであろうか。
  国民はこれらに対し、政府から明確なメッセージがないことに深い懸念を抱いているが、日本に英知がないわけではなく、有効活用されていない資源や能力を活用すべきである。そうすることによって、日本は長い間同盟関係にある米国を救えるであろう。ここ四年間駐日米国大使であったトーマス・シーファー氏は離任における会見で、日本は現行の金融危機に対してただ対応するのではなく、自ら世界の秩序を形作って欲しいと述べた。
(石塚論文の全文については、以下を参照)

英語の原文: Quick to Rebuke U.S., Rest of World had Part in Crisis too
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090126_quick_ishizuka/
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