今週クリントン米国務長官が、中国、日本、韓国とイン
ドネシアへ向けて初めての外国訪問を始めた。日本政府を安心させる
ように、まず初めに東京を訪れる。そこでは、アジア太平洋地域にお
ける米国の政策と戦略の基盤となる日米同盟の再確認が期待されてい
る。クリントン国務長官の訪日に関する報道が少ないことに関して、
その理由としてアフガニスタンにおける日米協力の拡大の可能性が考
えられる。実際この案件は彼女の日本での議題のトップにある。もし
日本政府がアフガニスタンでの戦闘活動への参加を拡大すれば、米民
主党政権のホワイトハウスが重要なアジア政策を議論するために東京
を飛び越えて中国へ行ってしまうのではないかという懸念の最中、オ
バマ政権への大きなポイントとなるであろう。
ここ数ヶ月間、テロとの戦争における日本の役割、特に
アフガニスタンでの活動について、東京とワシントンとの間でかなり
の関心を集めていた。12月に日本の国会は、テロ特措法の延長、海上
自衛隊によるインド洋における給油活動の一年間の延長法案を可決し
た。これは日本の政治エリートとみられている保守派や新米派には勝
利と受けとめられたが、これは一時的なものに過ぎない。この案件は
参議院によって否決され、この給油活動の法案は一年毎の更新なので
、日本のアフガニスタンにおける貢献は未だに確固としたものではな
い。
……………………………(中略) ……………………………………………
中央アジアやアフガニスタンでの活動への日本政府の参
画の望みは、2005年11月に日本主導のアジア開発銀行(ADB)に
よって組織された中央アジア地域経済協力(CAREC)への参加国にアフガ
ニスタンが認められたことによって明らかとなった。日本政府は2000年
より前にADBにおける中央アジア五カ国の加盟を手助けした。米国とは
異なり、これらの地域における日本のイメージは、2005年末に中央ア
ジアで東京大学が行なった調査によると、これら五カ国の一般市民の
高い人気は安定的で、平和を愛し他国に脅威を与えない国として認識
されている。日本はまた、陸路での供給ルートの始発点として位置づ
けられているカフカス山脈を跨る2つの国、アゼルバイジャンやグル
ジアとも大変良好な関係を保っている。
21世紀のユーラシア大陸での輸送回廊(シルクロードの
現代版)を実現するために、日本は米国の同盟国としてテロとの戦争
によって名誉ある貢献が可能で、それによって中央アジアでの主導権
を回復させることも出来る。自民党が政権に残るか、あるいは民主党
が次の新たな内閣を組むかにかかわらず、アフガニスタンでのテ
ロとの戦いを助け、中央アジアでの積極的な役割を担うことによって
、両党の政策立案者のビジョンに適応し、21世紀の日本の外交戦略を
活性化させることが出来るであろう。
(ファーガソン論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
Building a Silk Road: U.S.-Japan Cooperation for Afghanistan and Central Asia
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090216_ferguson_build/