ヒラリー・クリントン国務長官の最近のアジア歴訪は、オバマ政権におけるアジア政策の継続点と変革点が強調されたといえる。一般的にみて、日本、韓国や中国などクリントン氏の北東アジアへの歴訪は継続点とみられ、インドネシアへの訪問は変革と捉えられる。
彼女の最初の訪問先は、そうであるべきように東京であり、ブッシュ政権時にそうであったように(また彼女の夫である以前のクリントン政権時においても)米国のアジア政策の基礎であり、東アジアの安全保障における第一歩である日米の同盟関係の継続を強調した。
彼女は米国の日本に対する防衛力を確固として維持することを強調した一方、(日本からのかなりの援助にも頼り)2014年までに沖縄に駐留する8千人の米国海兵隊員をグアムに移すという彼女の前任者の考えを容認した。
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彼女が歴訪中、インドネシアはイスラム、民主主義と現代性がうまく共存していることを世界に示したと繰り返し強調し、まずイスラム社会がそのモデルとしてインドネシアを追従することによりインドネシアを鼓舞する傍ら、(オバマ大統領が約束したように)イスラム社会に手を差し伸べるという二つの目的を達成しつつあると説いた。このふたつのメッセージは、オバマ大統領が今年後半に待ち望まれていたインドネシアに帰郷訪問した際に、強調されるであろうことは疑いない。またクリントン氏はビルマへの制裁は軍事政権には何ら影響を与えないことを認識した上で、幾つかの政策の変化が起こり得ることも示唆した。
クリントン国務長官の外遊は、成功裡にその使命を達成したといえる。米国がこのアジア地域とその同盟諸国に貢献するという関係を確認し、中国とのより協力的な関係改善を求め、平壌に手を差し伸べる一方、米国政府は核廃絶を強く要求し、より積極的に東南アジアと北東アジアの両方に関わっていく姿勢を明確にした。クリントン氏が各国で受けた熱烈な歓迎振りは、実際アメリカのソフトパワーが新たな政権の台頭によってよみがえったことを示唆しているといえるだろう。
(コッサ論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
Continuity and Change: U.S. Asia Policy
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090307_cossa_continuity/