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注目記事(2009/3/26)

Opinion:
 
「経済だけではない、金融危機によるアジアの戦略上の危険性」
  マイケル・グリーン、スティーブン・シュラーゲ (米戦略国際問題研究所(CSIS))
  
  大恐慌以来の最も悪い経済危機に直面して、世界銀行やCIAのアナリスト達は、来年になっても回復の兆しが見られない場合のために、国際的安定へ向けた様々な問題について熟考を始めたところである。その多くは、東ヨーロッパ諸国などの不安定な国家に焦点を当てている。
  けれども、大恐慌は我々に世界的な経済の低下は大きな力を持つ国にさえ軋轢を与えることを教えた。この前の大きな世界経済の後退は、人類の歴史上最も破壊的な戦争に続いて起こったということは単なる偶然ではない。1930年代には、絶望的な経済は独裁政権を活性化させ、世界中を戦いに追いやった経済的安定のデス・スパイラルにおける保護主義を助長した。この循環的下降は、アメリカの先占と国内に経済問題をかかえた先進国、さらに他国と協力して海外の安定を図るという点への不十分な留意によって助長された。今日の挑戦はそれらとは異なっている。深まる不景気と世界戦争への流れを止めることに失敗した1933年のロンドン国際経済会議の逸話は、来月のロンドンG20会議に参加するリーダー達へ注意深く継承されるべきである。
……………………………(中略) ……………………………………………
  これらの危険な兆しは、金融危機が今年を越えて続いていったとしても、さらなる最悪のシナリオは起こりそうであるという意味ではなく、歴史と現代の傾向の双方は、我々が十分注意を払わない場合に起こりうるという示唆を与える。幸運にも我々は過去の失敗から学ぶことが可能である。
  我々は保護主義と戦う重要性は知っており、米国とその主要な同盟国は、国内のみならず、WTO、APECやG7やG20、あるいは、これらに加わる国々の間に新たに築かれたその他の力のある同盟などを通じて、その努力の一環として、そういった方向へ導くことが可能である。我々は刷新されたWTOや韓国と米国の自由貿易協定での努力を通じての攻撃的な貿易自由化は、全ての保護主義に対する最もいい防衛だと認識している。また、我々自体が金融危機に直面している最中でも、世界銀行やIMFを通じたパキスタンのような不安定な国に対する経済援助も大切であると考える。我々が1920年代や30年代にしたような防衛予算を削り、弱い外交で強い同盟関係によって抑止力に置き換えようとすることも無謀なことである。世界経済を再び活性化させるために、一国行動主義的な戦略によって相対的な利益を得ようとするよりも、安全のための相互連携を理解し、それによる世界的な戦略が必要であると我々は認識している。
(グリーン、シュラーゲ共著論文の全文については、以下を参照)

英語の原文: It's Not Just the Economy, Stupid: Asia's Strategic Dangers from the Financial Crisis
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090326_green_it/
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