G20のメンバーである東アジア各国は、この新興の世界的フォーラムに戦略的に参画するべきである。G20は出来るだけはやく、現在の金融危機から世界経済を救い出す政策や行動を生み出すことが可能であることを明確に打ち出す必要がある。既存の国際的制度や枠組みは世界が直面する課題に対処するには頼りなく、緊急の大きな改革が切望される。それにはG20に勝るフォーラムはないであろう。本質的にバリー・アイケングリーン氏が「世界経済の舵を取る委員会」と適切に述べたように本来の機能を発揮し、今まさしくG7やG8に置き換わるフォーラムになるべきである。
それにもかかわらずG20はまだ脆弱である。ある面、これは特定の問題のみについてのフォーラムであるという特性によるものと思われる。また、その参加資格はどのように決められるかという点での正統性の問題もある。来るロンドンサミットにおいて、幾つかの追加参加国が含まれたという点で、なぜ彼らが参加出来て、その他は駄目なのかといった問題は、より根深くなったといえる。G20のヨーロッパの参加国は、既にEUは参加が決まっているにもかかわらず、このような点から同胞であるヨーロッパ諸国から大きな異議申し立てを受けている。
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この地域(東アジア)は、G20での東アジアの最大の課題のひとつである開かれた世界貿易市場を保つという点において、より効果的にリーダーシップを発揮出来るであろう。他の優先課題は、目的を絞った経済刺激策を統合、調整し、発展のための適切な金融の流れを確かにするといった点が挙げられる。
G20への東アジアの戦略的な参画は、この地域共同体の主要メンバーとして、世界経済の復活や統治において、中国により重要な役割をさせる枠組みを与えるであろう。中国語で「危機」という言葉には、「危険」という意味と同時に「機会」という性質も含まれている。G20を通じて集団的行動への強い枠組みが形成される一方、危機によって与えられた機会は、いまだに影を引く危険をこの地域や世界から背けるために、東アジアによって充分に活用される必要がある。
(スサストロ論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
East Asia, the G20 and Global Economic Governance
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090401_hadi_east/