GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
注目記事(2009/4/8)

Debate:
 
「ヒマラヤ・コンセンサスへの参画を」
  ローレンス・ブラーム (シャンバラ財団・創設者)
  
  世界的な金融危機が始まってから、「ワシントン・コンセンサス」型の成長モデルの信頼は失墜したといえる。開発途上国は、ワシントン・コンセンサスに代わるものを求めている。この感情は、アジアで最も強い。
  ヒマラヤ・コンセンサスへ参画が望まれる。ダッカ(バングラデシュの首都)からイスラマバード(パキスタンの首都)、カトマンドゥー(ネパールの首都)からラサ(チベット自治区の区都)にかけて受け入れられ、今では北京で検討されている。ネパールのプラチャンダ首相は、「このヒマラヤ・コンセンサスは、この地域において自然科学的にも精神的にも独特な側面を持ち、ここで進展している政治・経済の制度は、これらのアイディアを包含すべきである」と述べている。
  ヒマラヤ・コンセンサスは、東アジア、そして南アジアにおけるヒマラヤ地域の国々から経済発展経験を結合させた伝統的価値観に基づくべきである。我々の金融制度を再構築する以上に、そのシステムの舵を取る仮定条件に基礎を成す、まさしくその価値を再構築することが求められている。ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏が述べたように、「全ての経済学の学説において、我々は、環境、人民、文化を失念し、金銭的価値を求めるために、全てを犠牲にしている。利潤を最大化することが唯一のビジネスの基礎であると考え、お金を生み出す方法を知っている人工的な人間を作り出す経済学の学説全てに、本質的に内在している欠陥である。けれども、人間は単なる金銭よりも重要である。」
……………………………(中略) ……………………………………………
  ヒマラヤの探検家であり、ヒマラヤについての幾つかの著作があるイアン・ベイカー氏は、「暴力なしで、社会的相互作用に関わるのは、仏教徒、道教信者、あるいはヒンズー、イスラムの考えである。このヒマラヤ・コンセンサスのアプローチは、積極的な社会的行動を意味すべきである。完全な社会を求めて時間を無駄にしてはいけない。そこから逃れるのではなく、自ら築いていくべきである」と説いた。 
  第三の柱は、全ての国家は、自国の政治システムを発展させる権利を持っているということである。そのシステムは、その国家独特の民族的、宗教的、そして社会的グループに自然と組み込まれていくべきである。参加型政府のその地域固有のモデルは、それぞれの国家の地域において、社会的に意味のある、文化的、部族的、歴史的、政治的、そして経済的伝統の石杖に基づいたものであるべきである。それらのアイディアは、ワシントン(米国政府)には煙たがられるかもしれないが、現実は、国家がそのシステムを変えつつあるときに、今日的で社会的重要性のある歴史的、社会的、あるいは文化的共通項を持たない国家の特別な政府のモデルを強いることは、ただ無力な政府、政治的不安定や社会的・人道的に不幸な結果になってしまうであろう。
  「全ては政治に帰結する」とベイカー氏は述べた。「仏陀は樹の下に座って政治を拒絶した。現代は、樹の下に座るのではなく、政治に帰るときである。なぜなら、木々は全て切り倒されてしまうから。」
(ブラーム論文の全文については、以下を参照)

英語の原文: Enter Himalayan Consensus
http://www.glocom.org/debates/20090408_brahm_enter/
. Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications