4月1日に、胡錦濤国家主席が今年後半にオバマ大統領を中国に招待することが決まった。政権発足時からそう経っていない時期に、米国大統領が中国を訪問することは前例のないことであり、その外遊は米中関係の新たな時代の始まりを象徴するものとなった。
この始まりが失敗に終わらないために、米中の対話は、以下の三原則に基づくべきである。すなわち、金融危機、安全保障と気候変動である。これら三原則における協調は緊急を要することは明白であり、それらは相互の利益になるテーマである。その対話は、ワシントンDCの環状高速道路のように周りから取り囲んでいくというよりも、原則を示すことが求められる中国人の心理的枠組みに沿って行なわれるべきである。
この三つの原則は、最初から共通性が議論される様に、協調における3つの論点と捉えられるかもしれない。これは時として何も利益を生むことが出来なかった前政権の敵対的アプローチを回避するであろう。同様に、面子を守る手法によって大抵の問題を避けることが出来るという幻想を持つべきではない。この二つの異なる政治的・社会的システム、価値体系は複雑性を避けられず、現在の世界経済に今後更なる複雑な関係を齎していくであろう。協調の三原則は、これらの違いを共通の枠組みとして折り込み、正しいトーンによる対話から始めることによって、この必然性を相殺することが意図されている。衝突の予想は、難局を回避させるであろう。
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より論理的で、究極的でより効果的な取り掛かりは、新たな統一体、より広い意味での戦略的対話へ導くための国務省や財務省とは一線を隠した委員会をつくることかもしれない。この新たな統一体は、国務、財務、国防、情報における中国へのアプローチを統合・調和させていくであろう。更に、その戦略的対話には、北京に特別なオフィスを設け、主要な議題に真の進展を齎すように、予想される難局を回避するために、年間を通じて、定期的で持続的な討論を続けていくことが必要である。
この「協調における3つの論点」は、より合理的でより進歩的な対話によって中国と関わっていくため、米国政府の援助団体や省を超えた枠組みを齎すであろう。両国政府高官の年に数回の会議では、メディアに対してスタンドプレーを齎す以上の効果的な目的は与えられないであろう。これらの論点は複雑で、両国の経済も複雑に絡み合っている。下降が予想される政治的な諸問題は、深刻さを増している。両国は意味のある進展を勝ち取るために、お互いに懸念される課題に対する深い理解によってこの機会を逃してはならない。今こそ対話の枠組みをつくる時である。米国や中国、そして世界が共通性を見出すための鍵を握っているといえる。
(ブラーム論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
Finding Commonality
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090507_find_brahm/