これからの数ヶ月は、日本の防衛と安全保障政策にとって、重要なときとなるであろう。国の安全保障政策の概略を纏めた新たな防衛大綱は、今年終わりには出来る予定である。逆に言えばこれは、特別な計画や購買予定の概略を示した中間防衛計画の基礎を提供するといえる。この新防衛大綱は、日本(や他の諸国)にとって、北朝鮮の核実験やミサイル発射に揺さぶられ、中国の軍備の近代化を理解しようとする、特別に過敏な時期に準備されつつある。これらの思案につきまとうのは、米国との高まる緊張関係であり、総選挙を間近に控えた国の政府に歴史的な変化が起きるのではないかという予想である。
日本の切迫した人口統計上の変化という安全保障政策におけるより大きな影響力でさえ、ほとんど議論されていない。減少を始めた日本の人口は、2055年までには30%減り、それまでに人口は8900万人になり、国の人口として世界で18位(現在10位)になると予想される。忌々しい出生率の急降下とより進む高齢化。さらに悪いことに、65歳以上の高齢者の割合は21.5%であり、2050年には38.9%となり、日本は世界で最も高齢化した社会となると予想される。
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米国はアジア統合の過程を促進すべきである。アジア共同体の創設は、地域の関係に安定を齎し、共通の利益を産み、地域の緊張感を最小化するであろう。日本のこの地域への深い適応は、アジア外交へのより大きな影響力を行使する仕組みを日本に与え、米国との同盟関係のお陰で、米国をアジアへ繋ぎとめるであろう。
世界は、最高水準の日本の国際社会での存在感と強い主張を見ることになるだろう。将来的に、日本はより国内問題に焦点を当てるようになり、米国にはそれに沿った期待に答えなければならない。それは同盟関係を諦めるという意味ではない。特に、日本が難しい政治的・社会的移行期を潜り抜けるように、安全保障の本義と日本の防衛における米国の貢献での信頼は、極めて重要となる。これらの傾向に直面しながらも、日本の防衛における恒久的な米国の貢献は、米国の名声を拡大させるであろうある種の指導力を立証するであろう。共通の目的感を持ち、費用や利益のあからさまな査定を慎む、我々両国の恒久的な同盟関係は、世界の見本となるだろう。
(論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
The Guillotine: Demographics and Japan's Security Options
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090620_gloss_the/