6月16日に、ブラジル、ロシア、インドと中国の指導者らが、エカチェリンコで会ったが、これはロシアでは最初の公式なブリックスの会合となった。この会合での最優先課題は、国際財政と金融システムの改革である。ブリックスは、ここ幾十年世界経済の事実上の「運営委員会」としての役割を担い、来月イタリアで集うG7・G8に挑戦するために、それへの対抗案を提案した。実質的中身をみてみると、ブリックスのメッセージは明確である。これら成長する経済国家は、国際金融財政機関のなかでのより大きな発言力と代表権、控えめにみれば、国際貿易と金融システムにおける自国通貨のより大きな役割を求めている。
ここ数ヶ月間、ロシア、中国、ブラジルやその他の国々の指導者達は、ドルの価値と安定性に懸念を表明し、世界各国の米国ドルへの依存の縮小を呼びかけてきた。ブリックスは、世界の外貨準備高の42%(合計2.8兆ドル)を占め、その意見表明は大きな市場の反応を生んで来た。ロシアの指導者らは、米国ドルに対して最も挑発的な批判を行ってきた。ブリックス・サミットに先立ち、メドヴェージェフ・ロシア大統領は、「もし世界の金融機関がただひとつの通貨によって支配されているとしたら、世界の通貨システムに成功はないだろう。それは今日では事実上、ドルである。」ブリックスの公式声明はもう少し和らげられたもので、「より多様性のある国際金融システム」を求めているが、これは保有しているドルの価値への中国側の注意と懸念を反映していることに疑いはない。
……………………………(中略) ……………………………………………
実際、もし中国の指導者が準備通貨として人民元の役割を高めることに真剣であるならば、これを達成するには多くの積極的な改革が必要であるが、米国の経済的利益を損ねるよりはむしろ、米国の経済学者や政策立案者が信じる中国国内の経済や金融改革の達成へ向けた中国政府の動きが高まり、そしてそのことは、将来的に米国と世界の安定した経済成長には不可欠のものとなるであろう。
(ケリー論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
The BRICs' Monetary Challenge
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090627_kelly_brics/