北朝鮮の武力威嚇への逆戻りによって、軍事問題が日本と米国のトップ議題に戻ってきた。多くの日本人が、オバマ政権の日米同盟に対する肩入れについて、根拠のない疑いを抱く最中、(日本人は)米国政府に米国の最も進んだF-22戦闘機を日本が購入出来るように要求している。この動きは、このことが日米関係の心得違いのリトマス試験になる前に、あっけなく挫かれてしまうであろう。
F22ラプターは、以下の2つの特徴を持った第五世代の戦闘機である。ひとつは空軍力において飛躍的進歩を齎したことで、これは決して安価ではない。費用計算と政治の複雑さを鑑みれば、このラプターに適切な価格をつけることは難しい。けれども低く見積もれば、完成前の周辺コスト1億4千万ドルから、もし研究開発費を含めれば3億5千万ドルとみられる。これには、更に維持費と運営上の出費が必要で、ペンタゴンはそれは「とても高価なもの」と認めている。
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このような感情が広がる前に、日本の批評家は、削減されつつある防衛予算のなかで、実際に日本はF22を購入することが出来るのかをよく考える必要がある。また日本政府は、国家機密にかかわる軍事技術には妥協は許されないという米国政府に、疑いを残すことのないような厳しい政策を実行することが必要である。
日本がこのような基本的条件を満たし、米国政府がより広い意味での戦略的計算によって、日本や他の同盟国にF22を売る準備が出来たという時が来るかもしれないし、そうすれば日本政府はこの戦闘機の入手を見越して、強硬な措置に出るかもしれない。その日はまだやってきていないが、当分の間はこのラプターが、米国の日本に対する戦略的な介入の象徴になるべきではない。
(論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
The F-22 and the Japan-U.S. alliance
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090707_konishi_f22/