ソウル - 伝統的通念によると、世界的な経済危機は西側諸国からアジアへの力や影響力の移動によって、より加速したと考えられている。この景気後退によって、米国は特別に打撃を受け、米国の損失は中国の利益であると考えられる。この移行は、国際経済の意思決定に変化を与えている。伝統的な力の中心であったG8は、致命的な傷を負ったと言え、将来的には議論が進み、最も重要なフォーラムは、G20になるであろう。
もしこの分析が正しければ、伝統的な通念が示すように、世界的経済活動における別の基本的な力の移動が起こるであろう。西側の需要は、もはや主要な成長の原動力ではない。その代わりに、アジア各国は、輸出主導型の成長モデルを捨て、成長を促すような内需拡大を容認するであろう。これは、最も大切なものは福祉システムなどの社会的セーフティーネットの拡充であるという、もうひとつのドミノ効果を整え、それによって、消費者は過度の貯蓄をする必要性を感じなくなり、消費が拡大するであろう。
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このような思考様式の大切な構成要素であり、未来の成長と潜在的経済に力強いインパクトを与えるものは、環境に配慮した生産である。製造者には、より資源を有効活用する開発生産モデルが必要である。これは、より無駄を省き、よりリサイクル物資を使い、より少ないエネルギーの消費などによる、(より少ない資源の投入による)より傾斜のかかった効率のよい生産方法を含む。このモデルの重要性を認識している国々と、環境に優しい生産へのシフトは、未来の勝者になるだろう。
このプロセスに不可欠なものは、環境配慮型製品を求める消費者である。これがアジアの将来を決定するかもしれない。一般市民の意識が環境配慮型であれば、政府や産業界はこれに追従するだろう。この変革が起これば、世界経済のなかで最も強く台頭する力に、勢いが加わり、かなりの実質的な変化が起きるだろう。そして、結局は、伝統的通念が正しかったことが証明されるであろう。
(グロッサーマン論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
Asia's Rise: Cooling on the Conventional Wisdom
http://www.glocom.org/debates/20090722_gloss_asia/