クリントン国務長官の先月のムンバイとニューデリーの五日間の凱旋は、多くのメディアの注目を浴び、政治家としての名士振りを見せつけた。インドの環境大臣による環境政策の拒絶は広く公表されたが、彼の言葉はクリントン夫人と同様に国内の人々に向けられたようであった。国防や核に関する協調の宣言もまた、多くの注目を集めた。末端の人々のモニター調査では、最先端の米軍の軍事技術をインドが購入することに同意し、さらに近年浮上してきた(暗に反中国色の)安全保障関係を強めている。この2つの地域における核開発工場の建設を米国に許可するというインドの宣言は、国際的な核拡散防止体制における低い地位から米国が抜け出すことを助けるという、ニューデリーからワシントンへの見返りといえる。
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確かにクリントン国務長官の訪問は、米国とインドの関係が直面する挑戦の万能薬ではない。古くからの刺激物といえる世界的な貿易交渉やアフガニスタンやパキスタンでの異なるアプローチでの難局は続くであろう。気候変動や世界的な核不拡散システムにおける新たな摩擦は既に明らかである。どれだけ多くのエネルギーと想像力を両国の政府が新たな戦略的対話に注ぐかが重要で、全体の関係に重要な安定を齎すであろう政治が弱い分野も含んでいる。けれども、この凱旋は、永続する関係に重要な柱をつくるであろう多くの無視されてきた要因を強調し、つかの間の政治的外交的悪化が、米国とインドの総合的な関係を分裂させるかもしれない危険性を抑えるであろう。
(カール論文の全文については、以下を参照)
英語の原文:
The Other (Equally Important) Dimension of U.S.-India Relations
http://www.glocom.org/opinions/essays/20090812_karl_usindia/