GLOCOM Platform
debates Media Reviews Tech Reviews Special Topics Books & Journals
Newsletters
(Japanese)
Summary Page
(Japanese)
Search with Google
Home > Summary Page > 詳しい記事 BACK

2004年のGLOCOM情報発信に望むもの

公文俊平 (GLOCOM所長)


オリジナルの英文:
"New Year's Wish for GLOCOM Platform 2004"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20031225_kumon_new/


要 旨


年頭に当たり、GLOCOM情報発信活動の将来について、内外の状況を見ながら考えてみたい。


まず外を見ると、これまでテロに対する戦いが行われ、この世界がリスクに溢れ、予想外の出来事に直面することを思い知った。軍事、経済、情報といった様々な要因が相互に関連し合って、我々の周りでこれほど予測不可能なことを引き起こしているのである。このように不確実な世界の中でも、日本は自分達および国際社会のために地域と世界の安定に貢献する確固たる決断を行なうことが期待されている。


そうであれば、日本の意図や決意について誤解を生まないように、世界に向けて日本の意見や政策をできるだけ明確に表明する必要性がますます高まるであろう。テロを世界に広げる傾向を持つ貧困や専制といった根本的な問題を解決するためのグローバルな努力に、日本がどのように参加するのかを明らかにしなければならない。


この目的に向かって、GLOCOMの情報発信活動は、日本に関するグローバルな問題について日本の代表的な意見を発信する重要な役割を果たすべきである。幸いにして、すでに多くの著名なオピニオンリーダーが情報発信プラットフォームに論文などを寄稿している。しかし、さらにさまざまな問題についてディベートを行ない、日本の中での異なる意見の分布を反映させ、海外で信じられているように日本人の発想が一枚岩ではないことを示す必要がある。


ひるがえって内を見た場合、GLOCOMが国際大学グループの一員であることを私は強調したい。実はこの関係が国際大学関係者の間でも常に明確に意識されてきたとは言いがたい。しかし、国際大学の新理事長である小林陽太郎氏が2003年12月に開催されたGLOCOMフォーラムの開会の辞でも指摘されたように、「GLOCOMは国際大学グループの不可欠な一員であり、そのように認識されるべきである」(http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/20031204_miyao_gf/).


この点について、GLOCOM情報発信はGLOCOMと国際大学との間の重要な橋渡し役を果たすことができる。なぜなら、GLOCOM本体の研究活動は情報通信に特化しており、主として日本語で行なわれているのに対して、GLOCOM情報発信は国際大学と同じように英語を使った活動であり、また国際大学の学科である国際関係や国際経営がGLOCOM情報発信の主要テーマだからである。


実際に、国際大学の新しい学長である山澤逸平氏が「国際教育の理想と現実」(「Between the Ideal and Reality of International Education」)というテーマの重要な論文を情報発信に寄稿されている(http://www.glocom.org/opinions/essays/20031120_yamazawa_between/)。さらにジェイ・ラジャセキラ氏や信田智彦氏のような国際大学の教授陣も論文を寄稿しており、他の国際大学のメンバーにとってのお手本を示している。


いずれにせよ、GLOCOM情報発信にとってもっとも重要なのは、GLOCOMの研究員や国際大学の教授達の助けを得てオリジナルでインサイトに溢れる論文を掲載し続けることである。そうすればグローバル化した世界の中で、GLOCOM情報発信を主要なオピニオンのサイトとして、またGLOCOMを主要な研究機関として、さらに国際大学を主要な大学院大学として示すことに役立つであろう。そのことは、拡大する教育市場に参入するために、eラーニングの良いコンテンツを作るという目的にも適うと言える。


もしGLOCOM情報発信が国際大学グループの内外でこれらの期待に沿うことができるならば、その存在感は大いに高まり、国際大学のグループの中でGLOCOMと並んで独立した地位を得て、例えば近い将来に国際大学がオンラインの教育プログラムを開発する際にその重要な手段となるべく国際大学との関係を深めることも考えられよう。これこそが新年に当たって、GLOCOM情報発信に望むものである。

 サマリーページへ
 Top
TOP BACK HOME
Copyright © Japanese Institute of Global Communications