池尾氏は、りそなに対する公的資本投入について、それは問題解決の終点ではなく、始点に過ぎないと指摘する。銀行を実質国有化した段階では、単に金食い虫の特殊法人を新設したということに過ぎず、このような事態を解消することが真の解決である。今後国から特別支援チームが派遣され、りそなの業務を監督・チェックすることになるが、これにより銀行の業績が劇的に改善すると期待するのは楽観的過ぎるのではないか。派遣チームに民間人を入れるというような方策も必要であろうが、そもそもの政策判断をはじめ、当局が真に有効な措置をとって行くかを今後も注視する必要がある、と池尾氏は主張する。
英語の原文: "Resona Bailout: Nationalization Is Only the Beginning" http://www.glocom.org/opinions/essays/20030526_ikeo_resona/
マッカーティ氏は、個人主義の西洋側から見た日本の生活スタンスが、しばしば「我々と彼ら」というように内と外を分ける集団主義であるようにみなされているが、より深く日本人の社会生活を観察すると、その背後には予想以上に強い個人の意識と集団を利用する演技的な側面が見えてくることを指摘。さらにマッカーティ氏は個人と自然との関係や様々な生活スタンスの東西比較を試み、文化的比較のあり方について今後より注意深い研究が必要であることを強調する。
英語の原文: "East-West Cultural Differences in Basic Life Stance" http://www.glocom.org/special_topics/colloquium/ 20030526_mcCarty_east/