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注目記事 (2003/9/30)

Opinions:
 
所得格差の固定化避ける対策を」 樋口美雄 (慶應義塾大学教授)
  
樋口氏は、まず従来の平等主義が日本の活力を失わせてきたことについて、先に経済戦略会議が打ち出した提言にも「健全で創造的な競争社会」の必要性が謳われていることを紹介している。しかしながら、人々が新たなものに挑戦するには機会の均等が保証されていなければならないとの認識に立って所得分配の動向を調べてみると、90年代半ば以降、所得格差の拡大と、所得階層の固定化傾向が顕著であることが問題であると指摘する。高齢化社会に向かい、一般的に活力が低下する一方で、所得保障が薄れ技能の維持が個々人の責任に帰せられる傾向が強まる中、人々のやる気を引き出すには、社会人に対する能力開発や雇用システムの整備を行い、再挑戦を支援することをはじめ、これまで以上に機会の拡大と均等化に力点を置いた施策が必要であると樋口氏は主張する。
英語の原文: "Policies Needed to Avoid Immobilization of Income Levels"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20030930_higuchi_policies/
 詳しい記事
 
Debates:
 
「民族の伝統と知的財産権─ 権利の主張始めた先住民 」
名和小太郎 (グローコム・フェロー)
  
名和氏は、途上国・先進国を問わず、先住民の間で自分達の知的財産を尊重せよという主張が唱えられるようになったと指摘する。先住民の間で何世代にもわたって伝えられてきた「伝統的知識」や、芸術表現である「フォークロア」に関しては、先進国の知的財産権制度では一般に保護の対象となってはいない。このため、先進国の企業がこれらの知識や表現を工業化し、その過程でこれら企業が知的財産の登録を行ってしまい、先住民が利用を禁止されるという事態まで発生しているが、いずれにせよ、こうして企業が得られた利益が先住民に還流されることはない。先進国の間でもこれを問題視する動きが出てきており、ユネスコや世界知的所有機関がいくつかの提言を行ってきているが、日本を含めた先進国の反応は鈍いと名和氏は問題提起する。
英語の原文: "Ethnic Heritage and Intellectual Property Rights"
http://www.glocom.org/debates/20030929_nawa_ethnic/
 
 
「久保論文のネオコンについて」 スティーブ・マッカーティ (香川短期大学教授)
  
マッカーティ氏は、9月4日掲載の久保文明教授の論文「米国政治の長期傾向と短期変動」で、保守的な共和党員が力を持ってきていることが強調されているが、その「ネオコン」が実際にどのような人たちなのか、ユダヤやイスラエルとどの程度関係があるのか、あまり説明がない点を指摘している。
英語の原文: "Comment on Prof. Kubo's Article about 'Neo-cons'"
http://www.glocom.org/debates/20030930_mcCarty_com/
 
 
「マッカーティ氏への答え」 久保文明 (東京大学教授)
  
久保氏はマッカーティ氏の質問に対して、「ネオコン」というのはポール・ウォルフォウィッツ、リチャード・パール、ウィリアム・クリストルおよびその他のユダヤ人で、外交において武力と道徳を強調する人々のことを言うと答えている。現在のブッシュ政権のもとでは、このような立場がラムズフェルトやチェイニーといった旧来の保守主義者たちによっても支持されている。彼らはすべて力による平和を信奉する「レーガン主義者」であり、旧来型の保守主義者は武力を強調し、ネオコンはそれに道徳的な要素を加えていると久保氏は説明する。
英語の原文: "Reply to Mr. McCarty"
http://www.glocom.org/debates/20030930_kubo_rep/
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