猪口氏は、日本外交には、海洋路線と大陸路線の二つがあり、歴史的にこの二つの路線のせめぎあいで進められて来たとの認識に基づき、戦後の日本外交を再認識し、今後の道を探るべきであると指摘する。イラク戦争では日本は、英米に味方することによって、世界規模での自由貿易を志向するという、海洋路線に大きく傾いた。このため、ASEANに対しての働きかけ、すなわち近隣諸国との協力関係という、大陸路線がやや疎かになってしまった。これから振り子を戻し、東アジア共同体構築に指導的な役割を果たしつつ、二つの路線の微妙なバランスの上に、日本外交を構築して行く必要がある、と猪口教授は指摘する。
英語の原文: "Japan Must Play Leading Role in Forming Asian Economic Community"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20031218_inoguchi_japan/