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注目記事 (2006/4/24)

Opinions:
 
「地域価値と魅力創出拠点 - 代官山のケース」
 岩橋謹次  (代官山ステキ総合研究所理事長)
  
  代官山ステキ総合研究所は、東京山の手の中心部に位置する代官山の魅力を総合的に研究するために最近設立された。ここで「地域の魅力」とは「地域価値」とも言えるもので、それはその地域のブランド力に対応している。
  実際に、地域価値とは様々な種類の価値が混成した結果であり、特に以下の四つの種類の価値が重要である。(1)経済的価値、(2)環境的価値、(3)情報的価値、および(4)文化的価値で、これらの価値はさらに地域の不動産経済、都市型産業、生活アメニティ、自然的環境、メディア価値、建築デザインなどを反映していると考えられる。したがって、品格ある社会資本と高品質なブランド力を持つ魅力的なコミュニティは、高い経済的、環境的、情報的、文化的な価値から生まれるともいえる。代官山ステキ総研が目指す第一のことは、代官山の持つそのような価値を研究して、それをできるだけ見えるように(「可視化」)して測れるようにすることである。そのためには、代官山コミュニティの位置や構成や機能を明確化しなければならない(この点の詳細については、以下のビデオ参照: www.glocom.org/special_topics/colloquium/20031001_iwahashi_vtr)
  もう一つの目指すべきことは、代官山にCOE(センター・オブ・エクセレンス)、つまり魅力創出拠点を作ることである。ここでCOEとは、地域活性化のために地域内外の知的・創造的資源を活かすネットワークのクラスター(集積)のことである。COEを中心とした創造的なコミュニティで世界的に有名なのは、米国のシリコンバレー、インドのバンガローレ、また英国ウェールズやフィンランドの地域ネットワークなどである。ただし、日本では不幸なことに、このCOEという概念が誤解されて、単に政府が資金的に支援する大学の研究活動と狭く解釈され、そのコミュニティや地域とのつながりがあまり考慮されていない。そこで代官山で真のCOEを確立する必要があり、代官山ブランドの研究を通じて地域活性化を図るべきである。街づくりは簡単ではなく、多くの分野の創造的な人たちが持っている専門知識が必要であり、彼らが集まって学びあう場としてそのようなセンターを提供することが重要である。その意味で、代官山ステキ総研が、地域の研究・開発、教育・学習、経済活性化および文化創造のための真のセンターになることも十分考えられる。
  実際に、代官山とその近隣の中目黒を含む地域は、東京でも有数の創造的なクラスターと見なすことができる。もしそれが世界的な交流と競争に開かれるならば、日本でもっとも活動的で魅力のあるセンターの一つになるであろう。それはちょうど文化遺産を活かして街づくりとビジネス革新を続ける京都に比較できる。そのためには、代官山・中目黒地域にある様々な歴史的建物や庭園を保存して、芸術的および創造的な人たちを引き付け、その文化遺産をグローバルに見ても高く評価されるような街づくりに活用すべきである。したがって、世界に向かってインターネットを使って代官山についての重要な情報を積極的に発信すること、またその街作りに関する有用な資料をデジタルなアーカイブに蓄積して公開することが必要となる。それとともに、COEにおけるフェース・トゥー・フェースの会合もできるだけ頻繁に開いて、人と人とのコンタクトや交流を促進して創造力や活性化を維持しなければならない。
  (本稿は2006年3月31日に代官山のヒルサイドプラザホールで開催された代官山ステキ総合研究所設立記念講演会「代官山の地域価値を考える」における岩橋氏のプレゼンの要旨である)

英語の原文: "Community Value and Centers of Excellence: Daikanyama Example"
http://www.glocom.org/opinions/essays/
20060424_iwahashi_community/
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