「国際大学創立25周年記念式典 IN 東京」が11月21日(水)に東京六本木の国際文化会館で開催された。式典では、まず小林陽太郎国際大学理事長の開会の辞に続き、緒方貞子国際協力機構(JICA)理事長が「真のグローバルリーダーに求められる要件と国際教育機関が果たすべき役割」というテーマで基調講演を行った。その講演で強調された点は以下の通りである。
第1に、JICAは途上国への援助の一環として研修生や訓練生を日本に呼び寄せて訓練するというユニークなプログラムを行っているが、これは日本的な物事のやり方を単に技術面だけでなく広く文化的・社会的な視点でも学んでもらうためである。日本でこれができるのは、日本が戦後援助を受けることと与えることの両面を経験したからといえる。
第2に、日本人は自分たちをよりよく理解し、自分たちの発想や方法の良い点を整理し積極的に外に対して説明することが必要である。特にこの点は海外からの学生や研修生を効果的に訓練する際に不可欠なものである。
第3に、日本の若者にもより適切な教育を行って、世界の中での日本の豊かさや経済力に見合った責任を自分たち自身で感じて、グローバルな問題に取り組む姿勢を持つようにしなければならない。
以上の基調講演に続いて行われた座談会では、緒方理事長に加えて、塙義一日産名誉会長と山澤逸平一橋大学名誉教授の3名のパネリストによる討論があり、モデレーターは月刊「リベラルタイム」編集長の渡辺美喜男氏が務めた。座談会の議論では、グローバル化する世界の中での日本人のあり方とリーダーシップ養成の問題が取り上げられ、その点での国際大学の過去および将来の役割にも焦点が当てられた。
このグローバルリーダーシップを強調する国際大学のイベントは、急速にグローバル化する世界において解決が難しくなっている問題に取り組むリーダーを教育する上で、国際大学が直面している新しい課題を強く反映しているといえる。実際に他国のリーダーと協力して問題解決に当たるグローバルリーダーを創造できるかどうかが、日本の高等教育機関のサバイバルを決定し、ひいては日本の命運を左右するであろうことを実感させるイベントであった。
英語の原文:
"International University of Japan's 25th Anniversary Ceremony"
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/20071122_miyao_iuj/