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注目記事(2008/12/15)

Activity Report:
 
「報告:音楽産業と著作権ビジネスの将来」
  情報発信機構 (宮尾尊弘国際大学情報発信機構長)
  
  国際的な音楽ビジネスに携わり、日本では有名な「翼をください」の作曲家でよく知られている村井邦彦氏が、12月12日に慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の特別講義で、「音楽産業と著作権ビジネスの将来」について講演を行った。その要旨は以下の通りである。
  長い間、アメリカは経済だけでなく音楽でもその優位性と繁栄を誇ってきた。ここでアメリカの音楽とは、ヨーロッパで生まれたメロディーとハーモニーに、アフリカのリズムを混ぜ合わせたものと考えられ、特に世界中の若者の間で人気を獲得してきた。そのような歴史的背景とともに、アングロサクソン文化の産物である「著作権」の体制が、アメリカ、ヨーロッパそして日本の音楽産業の基礎を固めたといえるであろう。実際に、この3つの地域が、世界中の音楽産業における「著作権」と「著作隣接権」から上がる収入の9割を占めているのである。
  しかし、いまやインターネットとデジタル技術が、世界中の他の産業と同様に、音楽産業を根本的に変えつつある。IT革命によって音楽ビジネスにおける製造、複製、流通のコストが大幅に削減され、その結果、CDの売上が急速に減少しており、従来型のレコード(CD)会社が市場から退出を余儀なくされている。その代り、ダウンロード音楽が徐々に伸びているが、しかしCDの売上の減少を相殺するほど力強さはない。このことは、音楽産業全体が将来にわたって縮小していく可能性が高いことを意味している。
  そのような縮小傾向を生みだしている主な理由の一つは、世界中で起こっている不法なダウンロードである。例えば、今年日本で最も多くダウンロードされたヒット曲は「そばにいるよ」という曲で、公式な数字では1000万回ほどダウンロードされたとのことであるが、日本国内でそれと同じくらいの回数で不法にダウンロードされており、海外ではその20倍もの不法ダウンロードが行われていると推定されている。もしこのような状態が続くならば、現在知られているような形での音楽産業は、長期的には生き残れないであろう。それまでの間に、著作権保護の法的措置や著作権そのものの概念を再検討して、IT革命に適合するようなものになっていくかもしれない。

英語の原文: Future of Music Industry and Copyright Business: Lecture Summary
http://www.glocom.org/special_topics/activity_rep/
20081215_miyao_murai/
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