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「日本経済のデフレと不良債権処理」

行天豊雄(国際通貨研究所理事長)


オリジナルの英文:
"Non-performing Loans and Deflation in the Japanese Economy"
http://www.glocom.org/opinions/essays/200210_gyohten_loans/


要 旨


米国景気回復の遅れと日本への影響
米国の景気回復は予想以上に長引く可能性が出てきたが、その理由としては、(1)これまで景気を支えてきた個人消費と住宅投資に陰りが出てきたこと、(2)エンロンを始めとする企業統治問題が消費者や投資家の心理に悪影響を及ぼしていること、さらに(3)イラク攻撃に関する不確実性が心理的に悪い影響を与えていることがある。いずれにしても米国景気回復の遅れが、これまで輸出主導で回復してきた日本経済に大きく影響することは避けられない。


不良債権処理加速の困難さ
したがって、日本は国内外からデフレ圧力が加わる厳しい状況下で、不良債権処理などの構造改革を進めるとともに、景気回復を達成しなければならない。現下最大の問題は銀行の不良債権処理であるが、これまでの経緯からいくつかの理由で進まないまま残されている。そのために不良債権が増え続けて、日銀が金融緩和を行なってもデフレが解消せず、事態は悪化の一途をたどっている。そのために、ようやくここにきて、思い切って不良債権を処理する以外に経済を回復させる方法がないと多くの人が気付くようになってきたように見える。(1)公的資金を注入して銀行の不良債権を抜本的に処理し、(2)銀行を徹底的にリストラし、さらに(3)借り過ぎた企業を整理する.という3点以外に解決策はない。


公的資金の投入方法
公的資金の投入方法については、例えばRCCを活用して、銀行から不良債権を実質簿価で買い取り、その後に処分した場合の差額を公的資金で埋める方法がある。あるいは、銀行の資産査定を厳しくして引当てを増やし、不足する資本を公的資本を注入して補強する方法もある。そのどちらが良いかは個々の銀行の事情によっても違うと思われる。


デフレ対策と規制緩和策が必要
どちらにせよ、そう簡単にはデフレから脱却できそうもないが、不良債権処理が市場の納得のいく形で処理できれば、銀行株が上がることは期待できる。一時的な混乱を避けるために、株式に関する税制の見直しや失業手当や職業訓練の充実などのデフレ対策が必要であり、さらに規制緩和を断行して、新しいビジネスを起こりやすくすべきである。日本経済をデフレの悪循環から救うのは、不良債権処理の加速化とデフレ対策の組み合わせしかないことを皆が悟る時が来たといえる。

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