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企業の社会的責任に注目

小林陽太郎 (富士ゼロックス代表取締役会長)


オリジナルの英文:
"New Corporation Evaluation Standard to Revitalize Private Companies"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20030512_kobayashi_new/


要 旨


近年、「企業の社会的責任(CSR)」という言葉が注目されているが、これは、企業と社会が共に持続的に発展するための取り組みという新たな取り組み方である。CSRの基本的考え方は必ずしも新しいものでは無く、例えば近江商人の家訓などもこのCSRの考え方に通じるものが多い。昨今、企業は先ず収益という考え方に縮まってしまう傾向が強いが、CSRは、経済的責任と相反するものではない。


経済同友会は、この三月に発表した企業白書で、「『市場の進化』と社会的責任経営」をまとめた。CSRとは単なる法令順守でも社会貢献でもなく、企業にかかわるすべての利害関係者を視野に入れ、経済・環境・社会面における社会ニーズをいち早く価値想像や新しい市場創造へと結び付けて行く取り組みであり、企業と社会が相乗効果を発揮して発展しようという考えに基づいている。


欧米では、資本市場でCSRを重視している企業に投資する「社会的責任投資」が活発化し、特に欧州企業を中心に、CSR基準を満たさない企業とは取引をしないというケースも増えており、また、消費者が商品やサービスを選択する基準にも採用される等、日本企業も対応を迫られている。しかしここで重要なのは、このような流れを受身で捕らえるのではなく、積極的にCSRのあり方についての日本企業の考えを発信して行くことである。


国際標準化機構(ISO)でもCSRの規格化作業が進行している中、この企業白書では経営者のコミットメントに重点を置いて、具体的な取り組みを促進するとともに、既に効果をあげている取り組みを発掘・評価することを提案している。経済同友会では、まずここに提案された評価の自主的実施を呼びかけ、結果の収集・分析を通じて方法論を改善し、日本企業のCSRへの取り組み促進を図りたい。

(日本語訳:浦部仁志)

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