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イラク後の新たな国際協調

田中明彦 (東京大学教授)


オリジナルの英文:
"International Cooperation After Iraq"
http://www.glocom.org/opinions/essays/20030602_tanaka_international/


要 旨


先のイラク戦争では、主要国間の意見対立や、国連の無力化、そして改めて米国の圧倒的軍事力が示される等、歴史に照らせば国際秩序の再編成の引き金となったかも知れない要素もあった。しかし結果として、戦争の敗者はイラクのみという局地的な戦争に留まり、世界規模の影響は殆ど無かった。


世界の関心事は、各地での紛争や経済問題、そしてテロの懸念や新たな感染症に戻った。しかし権力の米国へ一極集中が更に強まったこと、そしてその一方で、テロ攻撃への対抗策等では国際協調が更に必要であることも明らかになってきた。例えばSARSへの中国の対応は、国際協調無くしては自国の惨事を招くということが如実に示された例である。


イラクのような無責任な国家がまだ世界には多く存在している。このような国々がなにゆえ生まれてしまったかについては、現在の世界の主要国が反省すべき要素もある。また、無責任国家だからと言って、国際社会が武力干渉をすることが正しいとは一概には言えない。しかし、新たな国際協調が模索される中で、無責任国家が国際社会の同情を得難くなっているのも間違いない。


一見何も変わらなかったようなイラク戦争後であるが、大きなグローバル化の流れは着実に進行している。米国の影響力は圧倒的であるが、その方向性に影響を与えるための日本やイギリスなどの同盟国の役割もまた重要である。

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