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「小泉政権をもう半年見守るべき」

内田健三(政治評論家)


オリジナルの英文:
"Koizumi Deserves More Time"
http://www.glocom.org/opinions/essays/200211_uchida_koizumi/


要 旨


日本の政治情勢は、年末の混乱状態に陥り始めたようである。今年の秋口には小泉首相はよくやっていた。9月に北朝鮮を訪問して、金正日総書記から長い間闇の中に放置されてきた拉致問題についての謝罪の言葉を引き出した。


しかしその後、北朝鮮問題はだんだんと不透明になり、国交正常化交渉も暗礁に乗り上げた。さらに米国が北朝鮮の核開発疑惑を追及し始めたので、三国間の問題になってしまった。日本の北朝鮮外交は小泉政権への支持を高めるはずであったが、その後の混乱の結果、小泉外交の足かせになるのではないかという意見も出されている。さらに、国民の抱く不透明感と不信感は、小泉政権による経済政策や財政の問題によってさらに悪化しつつある。


10月初めに小泉首相は内閣改造を行い、金融担当大臣を柳沢氏から竹中氏へすげかえ、竹中氏に経済財政政策担当大臣を兼務させることにしたが、これが批判され、小泉首相は経済音痴であるとか、すべての卵を一つの籠に入れたとか言われている。小泉・竹中チームは総合デフレ対策を打ち出し、不良債権処理を加速させ、経済の安定化を図ろうとしているが、デフレは止まりそうもない。


不良債権はデフレの結果であって原因ではない。さらに補正予算が実現するまでに時間がかかりすぎる。今は小泉首相の信任を得ている竹中大臣が、賢い舵取りをしてくれることを祈る以外にない。小泉政権は外交面でも経済面でも重要な段階を迎えているが、自民党の内部からばかりでなく、野党からも、また他の連立与党からも批判が強まりつつある。自民党のドンである中曽根元首相も小泉批判の声を上げている。


しかしながら、日本が直面する問題は、まだ急いでリーダーを変えなければならないほどの段階には達していない。2001年4月に突然誕生した小泉政権は、少なくとも後半年、つまり来年4月までは時間を与えるべきであろう。多くの人は、小泉首相がそろそろ限界に近づいていると感じている。しかし、国民は小泉首相に代わる人がいないことも分かっている。私見によれば、少なくとも後半年は日本の運命を小泉首相の努力に託す以外に、現段階で選択の余地はないと思われる。

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